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珈琲茶会
珈琲茶会

第13回 珈琲茶会

   

2018年7月8日(日)
■こちらの講座は終了しました■
午後1時30分 書斎カフェにて
初座1時間/後座(懇親会)1時間
会費五百円(入館料含む)

■本日のcoffee いつもの銘柄
  ■本日の茶菓子 1970年代、芸術から風俗へ この時、終末が始まっていた
     -赤瀬川原平と岩田信市を手がかりに語る終末論―
(美術の終末、芸術の終末③)
  ■茶菓子提供者 三頭谷鷹史(美術評論家)

■茶菓子解説 

美術が終わる。近代的な芸術観によってその価値を保証されてきた美術が終わるのである。だから正しくは芸術性の終末と言うべきかもしれない。この終末論に身を置き、そこから遡行して過去の美術的事象を観察すると、終末の予兆を再発見することになる。岩田信市と赤瀬川原平の1970年代の活動もそうした一例である。

70年代にもう終末が始まっていたのかと、自分で言い出しておいて驚くのだが、たしかに終末の予兆が認められるのだ。そして、この終末予兆のキーワードが「風俗」である。風俗という言葉の意味は改めて検証するとして、ここでは芸術に邁進していた人がたどり着く、「非芸術」文化の一つとしておこう。

1960年代をゼロ次元として活動した岩田は、70年代に入るとゴミ裁判や名古屋市長選などをへて、ロック歌舞伎スーパー一座の結成に至った。岩田によると、そもそもゼロ次元自体が「風俗の中に突っ込んでいった」活動だったという。赤瀬川の場合は、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズやハイレッド・センター、千円札裁判などをへて路上観察に至っている。路上観察は、一般に考現学や風俗研究の範疇に入る活動であり、当然ながら風俗という言葉と並べても違和感はない。

今回、私は風俗を問題にしているが、これには野外活動研究会の岡本信也の影響もある。岡本から「ゼロ次元は風俗ですよ」との指摘を何度も受けているからだ。彼は今日の考現学界を代表する一人であり、その意味では赤瀬川と隣接する立場にあるし、岩田とは古くからの友人である。1935年生まれの岩田より5歳下が岡本で、その岡本よりさらに7歳下が私である。岩田が生きた時代の空気を私より多く知っているはずである。常々そんな岡本の話に耳を傾けるべきだと思っていた。が、なかなか芸術的価値観から離れる気になれなかった。終末論の立場を取るようになって、ようやく踏ん切りがつき、風俗に向き合うようになったのである。

ただし一般的、あるいは社会学的な意味での風俗ではなく、先に触れたとおり、芸術に邁進していた人がたどり着く風俗が私の関心対象である。それは・・・。   (つづく)。

三頭谷鷹史(みずたにたかし) 略歴

1947年愛知県犬山市生まれ。同志社大学卒。美術評論家連盟会員、名古屋造形大学名誉教授。1970年代は美術、写真、演劇、パフォーマンスなどのジャンル横断的な表現活動をおこなった。80年代以降は美術批評を中心に活動し、90年代以降はいけばな批評も手掛ける。著書に『前衛いけばなの時代』(美学出版)、『宿命の画天使たち 山下清・沼祐一・他』(美学出版)。共著に『日本美術全集 第17巻』(小学館)、『日本の20世紀芸術』(平凡社)、『美術の日本近現代史』(東京美術)などがある。

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過去の珈琲茶会
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第3回 2016年6月19日 田中美智甫(いけばな/嵯峨御流) 花手前(はなてまえ)
第4回 2016年10月2日 三頭谷鷹史(美術評論家)
               夏目漱石の病、暴力、アウトサイダー・アート(2)
第5回 2016年11月27日 大嶽恵子(美術ウオッチャー) 公共空間の彫刻像について考える
第6回 2017年2月26日 松永直幸(鉄道史学会会員) 濃尾地震の痕跡と慰霊・記念の表現
第7回 2017年4月16日 三頭谷鷹史(美術評論家) 美術の終末、芸術の終末
第8回 2017年6月25日 三頭谷鷹史(美術評論家) 続・美術の終末、芸術の終末
第9回 2017年9月3日 鈴木敏春(美術批評/NPO愛知アート・コレクティブ代表)
               「アール・ブリュットをめぐって」
第10回 2017年11月19日 「大雑談会」
第11回 2018年2月25日 肥田木朋子(元・財団法人かすがい市民文化財団学芸員)
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第12回 2018年4月22日 肥田木朋子(元・財団法人かすがい市民文化財団学芸員)
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