茶会講座・イベント過去の茶会・講座・イベント2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年
珈琲茶会
珈琲茶会

第11回 珈琲茶会

2018年2月25日(日)
書斎カフェにて 会費五百円(入館料含む)

■本日のcoffee いつもの銘柄
  ■本日の茶菓子 実用とアートの共存から見る「書」
  ■茶菓子提供者 肥田木朋子(元・財団法人かすがい市民文化財団学芸員)

↑※画面クリックで拡大写真がご覧いただけます

■茶菓子解説 

文字の歴史は長く、人間にとって文字文化は欠かせない。その文字と共に派生してきた書の文化は、文字の実用と関わり合いながら変化してきた。手書き文字の実用が減りつつある現代、書を学ぶ人、書に携わる人も減少傾向を辿っている。少子化と多様化による習い事人口の減少、機械化による実用面での手書き文字の衰退によって、書は一般的で身近なものというよりも、アート的な側面が強調されてきたように思われる。はじめは書き手と受け手の距離が近いものであったが、現代は距離が広がってきたように感じる。作り手と受け手が釣り合わないように見える近年の状況に、多少の危機感を覚えなくもない。今後、どのようになっていくのかという個人的興味もあって、その手掛かりを探りたいと思った。
 そこで今回は、今一度書の歴史を振り返り、歴史的変遷を見てみたいと思う。長い文字の歴史の中で消えずに残り続けたアートとしての書の背景を見ていくことで、アートとしての書のこれからを考えるのも面白いのではないかと考える。その時代ごとに流行や実用として人々がどのような書に価値を見出していたのかという視点から、何かヒントが得られないかと考えている。
 人類が発明した時から実用的なものであった文字。読めればよい、伝わればよい文字を人の手が書くことによって、いつしか美しく書くという価値が付帯するようになった。実用の文字であっても、表現と個性が加われば、そこに芸術性を認めるのが人間の面白いところであると感じる。実用として文字は現在まで廃れることなく脈々と続き、表現が手書きから機械に移行していく社会の中にあっても、文字無しには現代の生活は成り立たない。文字が受け継がれ使われていることで、アートとしての書も現代まで続いている。
 アートとしての書を支えたのは、読めればいい伝達手段としての文字という価値だけではなく、そこに芸術性を求めて表現を追求する人々「書家」の存在と、それを鑑賞する人々の存在があったが故だ。片方ではなく、双方の関係性で存続してきたものと考えるので、書家にとっての書の価値観、いわゆる書道史に名を残しているものの価値も見ながら、今回は受け手である鑑賞者の価値観も見てみたいと思う。
 刻む文字、書く文字、印刷する文字、Web上の文字。石、鉄、木、毛、ペン、キーボードで書く文字。実用文字の変化で書はどう変化してきたのか。また、輸入アート、国産アート、その融合、発展、画との平面アート同士のコラボレーション、茶の湯やパフォーマンス・アートなど他分野とのコラボレーション。それぞれの時代でもてはやされたアートとしての価値はどういうものにあったと考えられるのか。
 どの時代においても、実用としての書とアートとしての書の関係性は非常に密で、違いが曖昧で、絵画などと異なる書の独自性がそこに見えてくると思う。これからの時代に、書がどういう価値を与えられ存続していくのか、今後も注視していきたいと考える。

肥田木朋子(ひだき・ともこ) 略歴

名古屋市生まれ。1999年10月より文化フォーラム春日井・文芸館(2000年より財団法人かすがい市民文化財団に移行)2005年3月まで勤務、文化フォーラム春日井の展覧会等を担当。「木のおもちゃの魅力展」「美術系学生選抜展 美系優秀」等の企画に参加。横浜市民ギャラリーなど3館巡回「今日の作家展2003図録に「新たなる「今日的なもの」を求めて」を執筆。「今日の作家展2004」の企画に参加、図録に「人の心に感じる」を執筆。書のまち春日井特別企画展「書」を企画、図録に「書作品と鑑賞者をつなぐ場の提供へ向けて」を執筆。退職後、2009年に「自分史―その彩なす心」展を企画。なお、書は故・藤田東谷、藤田金治に師事、篆刻は故・奥谷九林に師事した。

チラシはこちらをクリック
過去の珈琲茶会
第1回 2016年2月28日 松永直幸(元名鉄資料館館長) これからの消費について考える
第2回 2016年4月17日 三頭谷鷹史(美術評論家) 夏目漱石の病、暴力、アウトサイダー・アート
第3回 2016年6月19日 田中美智甫(いけばな/嵯峨御流) 花手前(はなてまえ)
第4回 2016年10月2日 三頭谷鷹史(美術評論家)
               夏目漱石の病、暴力、アウトサイダー・アート(2)
第5回 2016年11月27日 大嶽恵子(美術ウオッチャー) 公共空間の彫刻像について考える
第6回 2017年2月26日 松永直幸(鉄道史学会会員) 濃尾地震の痕跡と慰霊・記念の表現
第7回 2017年4月16日 三頭谷鷹史(美術評論家) 美術の終末、芸術の終末
第8回 2017年6月25日 三頭谷鷹史(美術評論家) 続・美術の終末、芸術の終末
第9回 2017年9月3日 鈴木敏春(美術批評/NPO愛知アート・コレクティブ代表)
               「アール・ブリュットをめぐって」
第10回 2017年11月19日 「大雑談会」